冬の淡空 21世紀美術館

太平洋側の人達が対照的な天候の冬の北陸を訪れて、その暗く重い空の印象を文学や記事にしてきた結果「北陸の冬の空は陰鬱」という印象がすっかり出来上がっていると思う。それに影響されて住んでいる人達でさえ「その様な不満」を抱く人は少なくない。もちろんそれはある意味正しいだろう。
天候を晴れ、曇、雨みたいに把握するコトが習慣になってしまっている地方の人から見ればこの空も「ただの曇天」に見えるのかもしれない。
でも・・・少しだけ佇んで眺めれば分かるコトだけど、ゆったりと、また早く流れ移り変わっていく冬の雲がしばしば空全体に展開する陰影はとても表現力に富み、時間を忘れて見惚れてしまうコトさえある。
時として淡い晴れ間が覗いたり、夕方空の一部が微かに桃色混じりになったりするのも楽しい。金澤のホントの味わいは連続した変化、時として微かな・・を感じそこに絶えず生じている「一期一会の光景」を楽しむコトにある。
豊かな陰影の空と反映する建物が作る風景に、休館日というコトもあって黒一色のカラス達が自由に留まり、モノトーンの穏やかで繊細なインスタレーション空間が出現している冬の夕方。
2011年12月12日16時19分撮影
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