奥村家土塀 冬の光

 そもそも地元が「雪の金澤」を盛んにPRしてきた経緯もあり、なんとなく未だに「冬の金澤は雪に覆われている」イメージを持つ人も多いだろうけど実のところ雪は「あったりなかったり」で無い時の方が多い・・様に思う。暮れも押し迫ったこの日も見渡す限り雪はない。兼六園下から石引までそこそこの高低差をゆったり結ぶ兼六坂(尻垂坂)終盤近く、冬の淡い陽射しが加賀藩重臣奥村家の土塀の奥の方までスーっと淡く差し込んでいる。角度の低い光が土塀や石垣に作る陰影と相俟って「冬ならではの小景」を生み出している。土塀上の瓦の鈍い輝きもこの季節らしい。
 金澤の冬の「弱く淡い光」の味わい。四季を巡る微かな変化の連続の中から時折り出現する、ごくささやかな美景。

2012年12月29日15時 この場所を中心に 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示