ルバンの明り

 日中この辺りは旧市街の表通りを回避するクルマで遅くまで混雑する。打って変わって静寂に包まれた夜、「角のパン屋さん」(ルバン in おやま)の明りだけがフワッと闇に浮かんでいる。空には昇り始めた半月。光と闇の塩梅、微妙に三次元的に傾きのある地形も相俟って、優しい夜の小景。旧市街の夜のあちらこちらに時々、ほぼ偶然ポッと出現する「小さな美景」 
 金澤では昼間歩き慣れた(クルマで通り慣れた)道にも、思いがけず発見がある、というか街の造りが自然と「そういう感性」に囁きかける、と言うべきか。  
 画面奥(暗くて見えないけど)は尾崎神社(1643年に金沢城内に建立。現在の地には1878年から)通り左手には金沢市指定文化財「旧園邸」(1920年頃築)、金沢出身の谷口吉郎(東宮御所、帝国劇場、東京国立近代美術館などが代表作)設計による石川県繊維会館(現西町教育研修館、1952年築)なども並ぶ。密かに歴史もある通り。

2015年1月14日午前2時30分撮影 ※ル・ヴァン(Levain)とはフランス語で酵母。
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